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簡単にできる人事考課~マトリクスを賞与査定のモノサシにする

先日、ある研修でマトリクス(2軸でできる4つの象限)を使って物事をタイプ分けすることを教えていたところ、参加者さんからこんな質問が出ました。

このマトリクスを、賞与査定のモノサシに使えないだろうか、というのです。
その方はマネージャーなのですが、賞与配分で部下の評価を求められたものの、その職場にははっきりしたモノサシがないとのことです。

小さな会社や新しい会社では、そんなこともよくあるかもしれません。
現場のマネージャーは、部下を公平に扱いたいですから、基準がないと困りますよね。

たとえば、こんな会社でなら、やれるかもしれません。
・全部の部下が単一の仕事をしている
・配分する賞与額はあまり大きくない

要領は以下の通りです。
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◎まずはフレームを作る

要するに、賞与の査定とは、その期に稼いだ利益の一部を分けっこする基準です。
手順を複雑にしようとすればいくらでもできますが、そうしたところで、原資が増えるわけではありません。

そう考えると、シンプルな方がわかりやすくてよいのです。
毎年賞与原資は変動します。がんばっても、もうからない年もある。
大事なのは、分けっこの基準として、納得性の高い決め事であること、年ごとの事情にかかわらず続けて使えることです。

マトリクスを基準にするということは、賞与を4段階で分けるわけです。
仮に、Aクラス 20万円、Bクラス 17万円、Cクラス 15万円、Dクラス 10万円としましょうか。

これを全体の基準としておいて、個別に評価すべき人には特別枠としていくらか上乗せするといいでしょう。
また、Dクラスには基準額なしで、個別に金額を決めるというやり方もありそうです。

これを2つの基準で決めることにします。
この基準は、「何をほめるか」ですから、よく考える必要があります。

ここでは、ひとつは ①賞与原資を稼ぐことにつながる行動としましょう。
たとえば、積極的に仕事の件数をこなす、お客様に提案をする、案件ごとにコストダウンをはかる、などです。

もうひとつは ②会社をよくすることにつながる行動としましょう。
仕事全体の改善を提案する、技法を改良する、部下や後輩の指導をする、社内のムードメイクをする、などです。

漢字の田の字のような、4象限のマトリクスを書きます。
直交する軸、つまり真ん中の漢字の十の部分を、横線を①の行動の軸、縦線を②の行動の軸とします。

横線の両端に、右側に「多かった」、左側に「少なかった」と書きます。
縦線の両端に、上側に「多かった」、下側に「少なかった」と書きます。

田の字で見ると、
右上・・・それらの行動がどちらも多かった人 ⇒A
右下・・・稼ぐ行動をよくしたが、会社をよくする行動はイマイチだった人 ⇒B
左上・・・会社をよくする行動はよくしたが、稼ぐ行動はイマイチだった人 ⇒C
左上・・・どちらの行動もイマイチだった人 ⇒D
の4枠ができます。

この4つに見えるメガネで、部下を見通すわけです。


◎評価してみる

部下の「この期の行動」をふりかえって、見るべき行動の量が多かったか、少なかったか、エイヤッと2組に分けていきます。
①賞与原資を稼ぐことにつながる行動
②会社をよくすることにつながる行動
と、順にみていきます。

その結果として、部下を4組に分けることができます。
ホワイトボードに大きな田の字を書いて、ながめながら名前を入れていく方法もあります。

普通のマネージャーは、評価をつける=分けるところまででしょうね。
ただ、分けた結果がどうなるのか、おおづかみには知っておくほうがよいでしょう。

会社の要求がA、B、Cの3段階査定なら、上記のBとCをひとくくりにしてはどうでしょう。


◎評価の軸の考え方

さて、評価すべき基準として、何を軸にするのがよいでしょうか。

上記では、毎年の「結果としての額」は変動することを考えて、結果につながる可能性が高い行動に着目しました。
そして、結果を生むであろう直接の行動と、組織的にそれを支えることになる行動とを評価軸にしてみました。
いろいろやったが今期は数字につながらなかったとか、担当しているお客様の関係で数字は期待できないといった事情も救済できると思います。


上記のほかには、直接的に、ひとつを受注額そのものとか、利益額そのものにすることも考えられます。
何と言っても、その人がそれだけ原資を持ってきたわけですからね。
そのようにすれば、成果的な賞与配分ということになります。


また、ひとつを稼ぐ行動、もうひとつをコストダウンの行動とすることも考えられます。
「入る」をはかり、「出る」を制した結果が賞与原資というわけですから。
なお、このような並列的なモノサシを据えることはよくあるのですが、私は、どちらか主になるものをしっかり決める方がよいと思います。

軸は、会社が社員に最も求めるかのメッセージです。
配分についての話し合いや、配分された額を通して、メッセージは社員に伝わるのです。


なお、ここでは話をシンプルにするために、「多かった」、「少なかった」、のふたつに分けて考えましたが、ここに、「普通」というグループを作ればマトリクスは3×3になり、9つの枠ができることになります。
このほうがもっともらしく見えるとは思いますが、それぞれの枠をいくらに設定するのが適切か、わかりにくくなります。
一長一短ですね。


賞与査定のほかにも、昇給査定があります。
これにも使えないことはありませんが、評価の軸はさらによく考えて作る必要があります。

「社員としてはこうあってほしい」というイメージが、どこの会社にもあると思います。
それは、単純にたくさん稼ぐとかいうのではなく、その会社が長期的に目指す姿につながり、体現したものでなければなりません。
そして、それが日頃どこまでできているか、力がついているか、といった観点になります。
そうなると、軸が2本だけではむずかしいかもしれませんね。


さて、こうして作ったマトリクスのモノサシは、一人で勝手に使うよりも、他のマネージャーにも使ってもらうのがいいでしょう。
また、経営者と話し合って、公式なものとして認めてもらうことです。
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by 50tempest | 2013-02-09 07:18 | 仕事の記録