日本オペレッタ協会公演「ラ・ヴィー・パリジェンヌ=巴里の生活」を見ました。
「ラ・ヴィー・パリジェンヌ=巴里の生活」 オッフェンバック作曲
2006年6月10日 北区赤羽会館
近藤政伸、蒲原史子、田代誠、小山陽二郎、佐々木弐奈、
坂本秀明、針生美智子、里中トヨコ、島田啓介、木月京子、
田代万里生、西尾祥恵、若菜一義、甲斐京子
出来やら何やらむずかしいことを考える必要はないでしょう。ウィーンで花開く「オペレッタ」の先がけとなる作品のひとつ。爛熟の時代の、当時のパリの風俗を面白おかしく切り取った通俗歌芝居です。浅草オペラってこんな感じだったのかしらなどと思いつつ、肩がこらずに楽しみました。初めて聞く若い女性歌手たちが、歌も芝居もしっかりこなしていたのにも感動しました。
さて、作品が作られた時代を考えたとき、おもしろいことに気づきました。
いわゆる高級娼婦と、金持ちたちが出てきます。19世紀半ば、共和制から第二帝政の時代、近代化したパリは本当に羽振りがよかったのですね。金を湯水のように使う層と、娼婦性を持った女性とは、この時代のシンボルと言えるようです。
考えてみれば、オペラの「椿姫」も「ラ・ボエーム」もこの時代が舞台です。特に「椿姫」は同じ頃に作られていますが、同時代の風俗を描いている点、高級娼婦が主要な役である点で、「巴里の生活」と共通しています。
「椿姫」のヴィオレッタも「巴里の生活」のメテッラも、成り上がり貴族などを客層として、いわば看板をあげているクルティザンヌという人たちでしょう(ちなみに「ラ・ボエーム」のミミはそこまでいかない、お針子をしながら援助交際OKのグリセットと呼ばれた人たち)。
そういえば近代の絵画にも、高級娼婦はたくさん出てきます。景気のいい街には芸術家も集まりますからね。時代の尖端をいく悪の華は、当然彼らの芸術的インスピレーションの対象となったでしょう。
ひとつの強烈な時代風俗が、さまざまな芸術にモデルを提供したといえますね。
「椿姫」は、カトリックの強いイタリアで作られたので「ラ・トラヴィアータ=道をはずした女」というタイトルになりましたが、当時の感覚としては、彼女たちはある種スターなのです。1回いくらで仕事をするのではなく、恋人役をすることでお金持ちのパトロンからお小遣いをいただく、美貌と教養を兼ね備えた人です(私だって会ったわけではありませんが…。現代では○姉妹をイメージすると早いという説がありますが…)。
ヴェルディも、あくまでも夢物語の登場人物ではなく、現実の時代の花形として、その職業的宿命とそれにともなう悲劇を描いたのでしょうね。
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千葉でちょっと気軽にオペラVOL.21=
【椿姫】ラ・トラヴィアータ -道を踏み外した女- ヴェルディ作
ハイライト原語上演(解説・字幕付き)
ヴィオレッタ
江口二美(二期会会員)
アルフレード 小山陽二郎(藤原歌劇団団員)
※急病により 2日 望月光貴 6,8日 大間知 覚 に交替
ジェルモン 鹿又 透(二期会会員) アンニーナ 吉村 恵
ピアニスト 松原裕子 演出・字幕 久恒秀典
2006年 7月2日(日)完売 6日(木) 8日(土) 全3回公演
開場:13時30分
開演:14時
場所:
はなみがわ風の丘HALL (JR新検見川から徒歩9分またはバス一つ目)
鑑賞チケット:4000円(一般全席自由)
1000円(小中高校生・席数限定・エリア限定)
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