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ゆめ芝居 それがしの申しますことひと通り・・・

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人の生き方を決めるもの ドライバーって?その1

人の生き方を決めてしまうものには、「ドライバー」と言われるものもあります。

前にご紹介してきた「禁止令」は、ごく幼少期(言葉も理解できない時期も)に、親の態度など言語以外の要素を通して、親からのメッセージとして受け取ってしまうものです。これは親自身の子供心(Cの自我)から発して、子どもの子供心(Cの自我)で受け取られます。たとえば、「危ないッ!」といった感情が、「(親の認めたこと以外は)するな」というメッセージとして、子どもに受け取られるのです。

これに対して「指示」は、言葉がわかるようになった子どもに、親の言語のメッセージとして伝えられるものです。これは親の親心(Pの自我)から発して、子どもの親心(Pの自我)で受け取られます。親は親自身の反省も含め、理想論を言って聞かせます。たとえば、「(人と言うものは)~すべきだ」と言います。子どもには「そういうものなのだな」と受け取られるのです。言葉で繰り返し親から言われることによって、そうせざるを得なくなるわけです。

さて、禁止令は基本的に子どもの素直な感情や行動の発露を制約するものですが、その中でも特に子どもの人生を制約的に決めてしまう12の禁止令がありました。
指示の中にも、子供の人生を制約的に決めてしまう強い5つがあり、これを「ドライバー」と言います。
子どもについて見れば、自分の感情面からは禁止令が束縛し、価値観や観念の面からはドライバーが束縛することになります。そうして自分の存在をまるごと認められる充実感を持つことができず、窮屈な人生を送るのです。


「指示」のことを拮抗禁止令という言い方をすることがあります。
拮抗禁止令とは、「その禁止規則さえ守っていれば、子供の自我状態が受けている禁止令を無視することができるという禁止令」という意味で名づけられました。
たとえば、「存在するな」という禁止令を受けた子供は、生きている者として、とてもつらいメッセージを受け取ってしまっています。ですから、そのかわりに、後で受け取った「~しろ」というメッセージにすがって、「~するから、生きていていいでしょう」と、自分をあおるのです。

T.ケーラーは、拮抗禁止令として「完全であれ・強くあれ・もっと努力せよ・他人を満足させよ・急げ」の5つを整理しました。
その後の研究で、親のPからのメッセージにはたくさんあり、必ずしも上記のような禁止令とのセットとは限らないことがわかってきましたが、拮抗禁止令という名称は残りました。ケーラーの5種の拮抗禁止令は、特に強い影響のあるものとして、今はドライバーと言われるのが普通です。


さて、人は自分の生き方に、ドライバーをどれか、たいていは複数持っています。大人になっても、ドライバーはさまざまな局面で顔を出します。それは親が背後霊になって、命令し、あおっているようなものです。

禁止令が「Don't」の形だったのに対し、指示は「Be」や「Do」の形をとるのですが、この5つのドライバーは実質的に「Don't」同様、現状否定のニュアンスを含んでいるのがおわかりでしょうか。つまり、「するな」も「しろ」も、「今のお前はだめ」だからというのが前提にあるのです。

ドライバーが強いと、子どもは親からこれらの命令を押しつけられ、「この命令を満たした時は愛されるが、そうでなければ愛されない」という強迫観念に責められます。
しかし、その合格ラインははっきりしません。そのラインは実は自分自身の心の中にあります。ですから、たとえば、どれだけ完璧であろうとしても、強くあろうとしても、そこで十分ということは実はありえないのです。「ドライバー」という所以がここにあります。

大人になっても、様々な時に、人はドライバーに従った行動をとります。それは親の指示に従って感心を引こうとする行動と同じです。しかし、そうした(たとえば一生懸命やろうと)としても十分には満たせないのですから、ストレスフルな時など、心の中の親の指示を満たせない自分は満足すべき者ではないということになって、みずからストレスを大きくすることがあります。

そういうことを繰り返して、人は自分に対するイメージを悪くし、その結果として人生を狭めるのです。ですから、自分のドライバーを知ることには意味があるのです。

   *          *

5つのドライバー(駆りたてるもの)
1.完全であれ …Be perfect!
2.他人を喜ばせろ …Please me!
3.一生懸命やれ …Try hard!
4.強くあれ …Be strong!
5.急げ …Hurry up!

(続く)


※自分の整理と説明のネタ用に書いています。記事に出てくるケースはフィクションです。

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by 50TEMPEST | 2006-08-21 08:08 | 日々の交流分析