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人事考課をやめるとしたら キャリア視点から  

年中行事としての人事考課をやめてしまったらどうなるか、シリーズで考えています。

人事考課が、高度成長期以降の右肩上がりの時代、たくさん人を採っていることを前提に生まれたものであり、職能資格制度のシンボルなのだと述べてきました。

今回は、働く人に視点を合わせて、会社はどう制度作りをするべきか考えましょう。


ハーズバーグの動機づけ・衛生理論を思い出しましょう。

彼は、賃金などは衛生要因であり、すなわち少ないとモチベーションが下がるが、増やしたからといってモチベーションを上げるものではないと喝破しています。

では、モチベーションを向上させるもの(動機づけ要因)は何かと言えば、組織から得られる達成感、認められ感、責任感、成長感です。
制度は、この理論をふまえて作るべきです。


まず金銭的な報酬に関する制度です。
給与水準は世間並みでよいのです。

今、若い人の給与が上がらないために、元気がなくなっていると言われています。
しかし、元気が出ないのは、額が上がらないためではなくて、先が見えないためです。

長く勤めるとこのくらいになる、普通に暮らしていけるというのを、はっきり見せることです。
それで納得できない人は去っていくかもしれませんが、そこは割り切るしかありません。


毎年チマチマ上げるより、数年単位でまとまった額を上げるほうがよいでしょう。
よく上がるけれど、よく下がるという形でもよいのです。
長い目でこうだとわかることで、人は安心します。

職能資格制度をひきずった旧来の制度では、ベストパフォーマンスをしたと思っていても、チマチマとしか給与は上がりません。

管理職たちは、大きな手間をかけて人事考課をしていますから、仕事をした気になってます。
俺は主張してあいつにA評価をつけたぞ、と自己満足しています。

結果として、当人にどんな達成感、認められ感、責任感、成長感が伝わっているか、多くの管理職は無関心です。
そこが問題です。

日々の仕事で感触が提供されていなければ、働く側はその昇給額に意義を見ようとします。
なーんだ、あんなに頑張ったのに、となります。

昔、ストだの何だの大変な騒ぎをして得られたのは、なーんだ百円玉1個かということがありました。
皮肉なことに、それと同じようなことが起きているのです。

給与面では、額そのものではなく、改定された事実のほうに、組織の一員として「ここにいてよいのだな」と感じるように持っていくことです。


次に、心理的な報酬に関する制度です。
達成感、認められ感、責任感、成長感の提供こそ、真剣に仕掛けを作る必要があります。

その要素をどうすくい取り、どう認めるか。
モチベーションは、そちらで得るように仕組むのです。

特に成長感が大事だと思います。
ポイントになるのは日々の管理職の語りかけです。

また、キャリア観の研修もしたほうがよいでしょう。
何ができるのか(能力)、何をしたいのか(興味)、何をすべきと考えているのか(価値観)、自分なりに整理がつけば、仕事への向かい方も変わります。


社員は、やりたくない仕事も含め、するかしないか選択をしているのです。
しんどい仕事をして得られる給与がこれだけか、となればモチベーションは落ちます。

つらいと思う仕事でも、これが成長につながると感じれば、がんばります。
人生視点で、スリリングな経験が得られるとか、実務能力がつくとか、意義ある仕事ができるとか、そんな未来が示せるとよい。


それは、会社はここへ向かって、こうなっていくのだ、という未来予想図にリンクするのが本来です。
また、トップをはじめ、経験を熱く語ることもよいでしょう。

そこから、そのためにはこんな能力が必要だとか、こんな思考習慣が有効だとか、出てくるはずです。
それを社員に示せば、成長の指標となるのです。

旧来の制度では、努力に対して会社が提供するものは金銭の報酬としか考えませんでした。
しかし、心理的な報酬は、金銭面に限りません。

たとえば、それは仕事であるかもしれません。
昔の先輩は「サラリーマンの報酬は仕事だよ」と言いました。
実は、これは本質を突いている言葉だと思います。
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by 50TEMPEST | 2011-09-20 00:01 | 人事と給与