研修の学びについて、近頃こう考えています。
何かを研修で教わるということは、そのことについて、アンテナの指向性を設定すること。
研修の場で得られることは、ほんのわずかです。
一方、私たちは日々、たくさんの体験をします。
それは、意識的、また無意識的に、とても多くの事柄を得る機会です。
しかし、それが多くのことを与えてくれているということに、私たちは気づきません。
「ああ、そういえば・・・」などというのは、まだよいほう。
ほとんどは、通り過ぎてしまうのですね。
気づくためには、ある事柄に、焦点が合っていなければいけません。
あることに問題意識を持っていると、意外な刺激にも、はたと気づくのです。
ニュートンがリンゴの落ちるのを見て、万有引力に気づいたのは、彼がそのあたりのことをどう説明できるか、考え続けていたからですよね。
私たち講師は、新しい知識を提供しようとするとき、今持っているであろうものに紐づけて理解してもらおうとしますが、本当のところはわかりはしないのです。
しかし、聞いた人が興味を持って、頭のどこかにそれを置き続けていたとしたら。
脳は、体験の中から、関連する事柄をつかもうとするでしょう。
それが続いて、情報がたまっていくうちに、ある時「ああ、そうか」と、なるのです。
その人の中に、持論のようなものが生まれるのです。
「要するに、こういうことだ」という、そんな理解こそが、本当の肥やしになるのだと思います。
さて、そのように考えてくると、講師がするべきことは何か。
なるたけたくさんのことを伝えようとするよりも、そのことにとにかく興味を持ってもらうこと。
そこに尽きると思うのですが、いかがでしょう。