平成3年から2年間、大阪で単身赴任しました。わずか2年間とはいえ、とても凝縮した時間であり、私の人生にとって収穫も多かったと思っています。シリーズで思い出をまとめます。
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●ある朝
そろそろ出勤しようと思っていると玄関のチャイムが鳴りました。
「あのー、隣の○○ですけど・・・」
「はい、何でしょう」
「お宅、アライグマ飼ってませんか?」
「エーッ?ア、アライグマですか?・・・・・・飼ってませんけど」
「ベランダから入ってきたんですよ。・・・・・・どうも、お騒がせしました」
「・・・はあ、・・・・・・どうも」
入居したとき、両隣と階下の状差しに挨拶のタオルと名刺を入れておきました。でも顔をあわせることはめったにありません。ご近所にどんな方がいるのか、ほとんどわからない状態です。
この事件の後、隣家の若い男性に会うことはありませんでした。アライグマはどうなったのでしょうか。
●ある休日
掃除機のスイッチを切ったら、開け放したベランダから歌声が聞こえてきました。
ヴェルディ「椿姫」の中の「乾杯の歌」です。それも、ちゃんとイタリア語のソプラノです。
アルフレード: 楽しい杯で喜びの酒を飲みほそう
はかないときを快楽にゆだねよう
愛を呼び覚ますときめきのうちに杯を飲みほそう
彼女のまなざしこそ、僕にはすべてに勝るのだから
乾杯しよう
愛によって、熱い杯の間に口づけを得るだろう
ヴィオレッタ: 皆さんと一緒に楽しいときを過ごしましょう
喜びでないものは、すべてむなしいものです
楽しみましょう、はかない愛の花を
今楽しまなくては、すぐしぼんでしまいますわ
さあ、楽しみましょう
杯と歌が、夜々この楽園を新しくするのです
ヴィオレッタ: 生きがいは宴の中にこそ
アルフレード: 愛を知らないうちは
ヴィオレッタ: 知らないものにはおっしゃらないで
アルフレード: これが私の運命ですから
さあ、楽しみましょう
杯と歌が、夜々この楽園を楽しくするのです
ベランダに出てみると、同じ階の数軒先の部屋らしい。音大の学生さんでもいるのでしょうか。
いいなと思ってると、ヴィオレッタのパートが終わりました。
次はアルフレード(テノール)との掛け合いです。
ここで私が歌い合わせられれば何かドラマが生まれたかもしれませんが・・・・。
世の中そうはうまくいきませんね。
曲を聴きたい方はこちらへ→
乾杯の歌
・・・続く(かも)