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ゆめ芝居 それがしの申しますことひと通り・・・

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オペラ「沈黙」に沈黙・・・

「沈黙」 松村禎三:台本・作曲 遠藤周作:原作
2005年9月18日 新国立劇場中劇場 大阪音大ザ・カレッジ・オペラハウス引越し公演

おまつ役にメゾの野間直子さんが出るので、出かけました。野間さんは大阪でコシのドラベッラを見てからのファンです。

大阪単身赴任中、ザ・カレッジ・オペラハウスには何回か通いました。次の舞台セットを横に引いておける立派な劇場です。オーケストラも合唱団も座付き。こんな劇場は日本中他にはありません。私のオペラ鑑賞歴はここから始まったのです。その引越し公演が東京で見られるのは幸せです。会場も満員でした。

気迫の舞台でした。うっとり聞きほれるアリアはないのですが、日本語であるだけに、テーマの重さが直接伝わってきます。どの歌手も発音がきれいだったこともあったのでしょう。

主役ロドリゴ(と、彼をとりまく何人かの宣教師)はポルトガル人の役ですから、ある意味むずかしい役だったと思いますが、熱演でした(テノール小餅谷哲男)。外国人役をやるのは、日本人がイタリアオペラをやるのと同じではありますが、まわりの登場人物が日本人で、かつ日本語でとなると、「外国人」の性質が際立ちます。その条件で、宗教上の葛藤を表現しなければなりません。

オハル役のソプラノ石橋栄美さんの、透明感がありかつ強い声は観客をゆさぶりました。
野間さんのおまつは、筋を運ぶ役。例えるなら蝶々夫人のスズキか。的確にソプラノの悲劇性を浮かび上がらせました。

信者たちの殉難に際して、救いを求めても何も語ってはくれない「神の沈黙」。ロドリゴは最後に踏み絵を踏む。息をも止めさせる緊迫感のうちにオペラは終わりました。


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by 50TEMPEST | 2005-09-25 08:03 | 歌舞伎,オペラ