人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ゆめ芝居 それがしの申しますことひと通り・・・

igarashi.exblog.jp
ブログトップ

拝啓、父上様

以前、風邪で声が出なかった話を書きました。
今回は筆談の話です。

3月まで放映していたドラマ「拝啓、父上様」ご覧になりましたか?
神楽坂を舞台にしたドラマです。脚本は倉本聡。

街の雰囲気がうまく織り込まれ、おかげで神楽坂はちょっとブームになった
わけで…。   http://www.fujitv.co.jp/haikei/special/index.html

二宮和也(板前の一平)と黒木メイサ(パティシエ志望のナオミ)が、若々
しい恋人同士を演じました。

ナオミはフランス留学を控え、ある曜日には日本語を口にしません。
フランス語+筆談です。

一平は日本語で話していいのですが、結局ナオミのノートとペンで筆談に
なってしまいます。

最終話。ふたりが筆談で思いを確かめる場面。

(ナオミが黙ってノートに)
兄妹かもしれないって思っちゃったんでしょ?
その時どう思った?
(一平、すぐペンをとって)
困るって思った
(間)
私も思った
(間)
逢いたかったわ
(一平、またすぐペンを)
オレも!
(間)
どのくらい逢わなかったと思う?
(間)
30日と22時間18…
(と、書きかけたナオミの手をつかむ一平)。

飯田橋のカナルカフェでの、いいシーンでした。

筆談という形式が、あたかもそれぞれの第二言語で、しかも共通の言語は
そちらというような、ふしぎなコミュニケーションになっていました。


さて先日、研修関係のある研究会で、「書きつつ話し合う」というワークを
ファシリテートしました。
ファシリテーション・グラフィックがテーマでした。

骨格は、齋藤孝先生(明治大学)の著書『会議革命』に書かれた方式です。
詳細はそちらをご参照いただくとして、ちょっとご紹介しますので、機会が
あればぜひやってみてください。

まず全員を2人ずつグループ分けし、各組は所定のテーマについて話し合い
ます。このとき、広げた紙にそれぞれ意見を書きながら話し合うのです。

時間を切って話し合ったら、各組の結論と経過を、他のメンバー全員に対して
順にプレゼンします。

次に、それぞれの結論の中から最終結論を選びます。

たとえば、ある課題に対してアクションプランをひとつ決めるというような、
シンプルな方針決定場面などにはとても有効な方法です。

実際にやってみて確認できた感触がいくつか。

ア、話し合いに入りやすいこと。
ふたりで始めるわけですから、さほど緊張感はありません。
書いているほうに意識を向ければ、相手がどんな感じの人かはあまり気にせずに
すみます。

イ、建設的な話し合いになること。
話し合いの流れが見えるので、それをふまえながらの話し合いになります。
書くのに手間取るので、話すほうにブレーキが少しかかり、その結果内容も
微妙に取捨選択されます。
自分の意見が書かれて場に出されるので、強く言い合う必要がありません。

口だけで話し合うと、つい熱くなったり、逆に気後れしたり、気持ちがかなり影響
しますよね。
しかし話し合いの過程で、視覚要素の占める比重を高めるだけで、気持ちの部分が
整理されました。

少し専門的に言い換えるとこういうことでしょうか。

まずコミュニケーションで伝えている要素には、「コンテンツ:内容そのもの」と
「プロセス:口調、様子、伝え方」があります。

紙に書くことが、コンテンツとプロセスとをうまく漉し分けるフィルターとして働い
ている、と言えそうです。


というわけで、カミさんと一緒に見たドラマと、研究会での試みを通して、コミュニ
ケーションに占める視覚要素の大きさにあらためて気づいたのでした。


       …心に届け!コミュニケーション No.5 より
by 50TEMPEST | 2007-07-03 12:10 | 他に書いた記事