交流分析では、相手(自分)の存在を認める刺激をストロークといいます。
赤ん坊は、快い環境の極値である母親の胎内から、外の環境に産み出されます。
そして、驚きと不安の中で、母親に抱かれて安心します。
人間は、その不安感の記憶から、接触欲求をずっと持ち続けます。
それが得られたものが、ストロークというわけです。
つまり、ひとさすり、ひとなでです。
成長につれ、言葉を使えるようになると、身体的な接触だけでなく、言葉やボディランゲージによる心理的な刺激もストロークになってきます。
必ずしも、身体的ストロークでなくても、心理的ストロークも大きな意味を持ちます。
むしろ身体的ストロークは、心理的ストロークの表現手段として使われるようになります。
とはいえ、基本的に接触欲求がもとですから、身体的ストロークのほうが強力です。
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さて、それを私が体感したのは、胃カメラの検査の経験です。
やった人しかわからないでしょうが、胃カメラの検査では、まことに無防備な状態に置かれます。
カメラを入れていくときや、空気を送り込みながら、あっちこっちと動かされたとき、たまに「オエッ」ということになります。
このとき、看護師さんが、そばで「はい大丈夫ですよ」なんて言ってくれるだけで、落ち着けるのですね。
そして、もっといいのは、手を載せてくれることです(さすってくれなくても)。
ああ、これが身体的ストロークの力なんだと、思った次第。
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この力を、もっと活用していただきたいのはお母さんがたです。
たまに、お子さんを、ギュっと抱きしめてあげてほしい。
それが、無条件の肯定的ストロークです。
今子どもたちに起きている問題の何割かは、きっとそれだけで解決すると思います。