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ゆめ芝居 それがしの申しますことひと通り・・・

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芋洗坂さんのご主人 TAばなし2

芋洗坂さんは新婚です。

ご主人は無口でした。
仕事で疲れるし、家に帰ると何かしゃべるのは億劫になるのです。
夕食が終わると、ソファにごろりとして、ナイター中継を見るともなく見ます。

奥さんは、結婚前、語り合う夕食の団欒をイメージしていました。
昼間仕事場であった話など、色々聴いてほしいとも思いました。

ちょっと夢破れた感じがするものですから、つい、文句を言ってしまいます。
教育的指導というやつです。
ご主人は、奥さんの気持ちがわからないわけではないのですが、どうすればいいかわかりません。

何にも変わらないまま、1年ほどたちました。

ご主人が仕事先から帰宅しようとして、花屋さんの店先を通りかかりました。
バーゲンの花束がひとつ残っていました。
気立てのよさそうな若い女性店員がうまく勧めるものですから、何の気なしに買ってしまいました。

家に持ち帰ったら、奥さんが驚きました。
「あら、私の大好きな花。よくわかったわね。ありがとう。うれしい、うれしい。」

あまり喜ばれるので、バーゲンと店員のことは言い出せませんでした。
でも、人間喜ばれて悪い気はしません。

それから、ご主人はよく花を買ってくるようになりました。
そのたびに奥さんは喜んでくれました。

何にもなくて買うのは、ちょっと恥ずかしい。
でも何かをプレゼントすることには、抵抗がなくなりました。
誕生日、結婚記念日、クリスマス…。節目が気になるようにもなりました。

花の名前や、色や、季節や、花活けや、そんなことを少しずつ話すうちに、二人はたくさん話し合うようになりました。

そうして、ご夫婦は仲よく暮らしましたとさ。
by 50TEMPEST | 2008-07-05 08:00 | 日々の交流分析