カークパトリックの4段階評価というモノサシがあります。
研修や教材を改善していくため、あるいはその研修や教材を引き続き使っていくかどうかを判断するための、評価の考え方です。
難しい→4
1.Reaction(反応)
受講中や直後の、受講者の反応や満足度についての評価。
多くはアンケートで見ます。オブザーバーの観察も可能です。
最低限、ここで納得してもらえないようだと、研修自体の必要性、内容の妥当性、
講師のスキルなどが疑われるわけです。
2.Learning(学習)
受講者の理解度や習得度、目標の達成度についての評価。
筆記試験、実技試験で見ます。
企業内研修ではあまりやりませんね。その分の時間は研修自体に回されるのかも。
役所系の研修ではやるようです。
そういえば、防火管理者の講習を受けたときも、最後に確認試験がありました。
3.Behavior(行動)
受講した結果、受講者の行動が変わったかどうかについての評価。
受講者自身や上司へのインタヴューやアンケートで見ます。
行動変容。私は、これが最重要だと考えています。
人はなかなか変わりません。
目からウロコでした、なんてコメントはいただきますが、ウロコなんか何枚もあるのです。
4.Results(結果)
受講によって得られた成果が、企業にどれだけ貢献したかについての評価。
組織に与えた影響の評価をどうやって見るのが一般的なのかは、よく知りません。
組織のような複雑なものは、ひとつの入力から単純な結果が出てくるわけでは
ありません。
特に業績といった面に結果が出るには、時間も必要です。
研修に限って考えても、相当のインパクトで実施することが必要でしょう。
現実としてこのレベルは、永遠の課題ないし研修提供者の心構えです。
ただし、しっかりやった上で、ここまで評価している企業もあることは知っておくべき
でしょうね。
カークパトリックがどんな教育を想定して、この概念を提示したのか知りません。
ただ、すべての研修が、4について顕在的に実証されるというものではないと思います。
たとえば技能系の教育は、即効的に効果が期待できますし、顕在的に見えることが多いでしょう。
工場のような環境で全員がある動きを身につけて、仕事がスピードアップして生産が増えたとか、事故がなくなったとかいうのは、4になりますね。
それに対して、ヒューマンスキル系やコンセプチュアル系の教育は、効果が出るのに時間がかかりますし、その効果はどちらかというと潜在的です。
極端な例ですが、経営的な物の見方を教育したとして、結果が顕在的に出るかどうかは、色々な条件が合わさった時だけでしょう。
まずは行動変容なのです。行動変容なくして、結果は出ないのですから。
直接左右できないことに思い悩んでもしかたがありません。
行動変容をいかに起こし、定着させるか、それこそが問題だと思います。