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ゆめ芝居 それがしの申しますことひと通り・・・

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人事考課をやめるとしたら その9

部門間異動


以前シリーズで書いた記事を読み直したら、異動からの切り口を書いていないことに気づいたので補足します。
なお、ここで言っている人事考課とは、人事の音頭取りで全社的に同じようなシートを使って行われる大仕事としての人事考課です。


異動で他の職場を経験することは勉強になります。それは私の経験からも間違いありません。
ですから、何回かは経験するべきものとしておくのがいいでしょう。

管理職になるまでに1回、なってから1回とか。
ただし、動かせばいいというものではありません。
やたら動かすのは反対です。

ひとつのチャンスととらえるような風土にしたいものです。
一方、負担もともなうものですから、希望しない者は動かさなくてもいいと思います。

動かし方は、定期異動方式で「セーノ!」と出し合うのが、対象者が開かれていいと思います。


さて人事考課との関係では、候補者の選定のための基礎情報、異動後の評価のしかたなどの問題がありますね。

前にカルテのようなものを使ってひんぱんな面談をすることを提案しました。
基礎情報については、この結果情報があれば、いわゆる人事考課歴はなくていいと思います。
むしろないほうがいいかも。

人事考課歴を参照して出てくる発想は、損得ないように同じレベルの社員同士を交換しようとか、ローパフォーマーのババを引かないようにしよう、とかです。
そこには、本人に伸びてもらおうなんて発想はないのです。

誰をどう動かすかは、部長クラス同士で選ばせてしまいましょう。
リストをヨーイドンで公開し早いもの順とか。

選んだのが自分たちであれば、育てざるをえないでしょう。
その上で、異動した社員が伸びたかどうかを、賞与配分の着眼点にしましょう。


異動の方法については、異動するならここという希望を全員が公開してしまってはどうでしょう。
それを前提に、部門間の談合もオーケーにします。
たいした問題は出ないのではないかと思いますが。

異動時は、埋めるべき予定ポストを、まずは対象者本人に選択させたっていいと思います。
要は、意味づけと後のケアをしっかりしていれば、「ねばならぬ」ということはないのです。


異動を現場があまり歓迎しないのは、慣れた人間が去り慣れない人間になる、業績が落ちる、まわりの負担がふえる、と考えるからです。

しかし、そんなことを言ってる管理者ほど、異動してきた社員を育てようとはしていません。
エイリアンとして見てしまっています。

仮に業績が落ちるなら、それを補う最善の対策としては、異動してきた社員に、他の社員以上に手をかけてやることのはずです。

従来の人事考課では、一般に異動直後の考課点を平均にするルールがありました。
成果的な考え方が入ってくると、それさえ否定されるようなことがあります。

どちらにも理屈はあるのですが、どちらも細かい話です。
いずれにしろ人事考課をやめれば、なくなってしまいます。

実は異動してきた社員のほうも、慣れない仕事になるので、心身ともに負担を抱えるのです。
もうかってない部署に来た場合には、収入も減るかもしれませんし。

それをカバーするのは、人間的なふれあいと、仕事のおもしろさのはずです。
考課点うんぬんよりも、早く仲間として受け入れ、戦力として育てる、内的なモチベーションの喚起策こそ必要なのです。
by 50TEMPEST | 2009-07-20 16:22 | 人事と給与